朝、まだ街が完全に目覚める前に起きた。
窓の外は小雨が降っていた。
天気予報では今日は降ったり止んだりになりそう。
台湾には「早餐店」と呼ばれる朝食レストランがたくさんある。
宿から歩いて食べに行く。
朝早くから開店しているので自転車旅をする身にはありがたい存在だ。


宿に戻り、前日に組み上げた自転車をもう一度確認する。
ブレーキ、変速、空気圧。
どれも問題ない。
荷物を積み、チェックアウトを済ませる。
宿の前に立ち、自転車にまたがった瞬間、
「ここから本当に台湾一周が始まるんだ」と実感した。
走り出してすぐ、台北の交通量に圧倒される。
とにかくバイクが多い。
日本とは違うリズムの中で、
まずは流れに慣れることを優先した。
台湾は右側通行。
頭では分かっていても、
交差点に入るたびに一瞬だけ迷いが生まれる。
日本で染みついた感覚がなかなか抜けない。
それでも、不思議と怖さはなかった。
周囲の車やバイクは、自転車の存在をちゃんと認識してくれている。
無理に抜かれることもなく、
「走っていい場所なんだ」と思えた。
市街地を抜け、川沿いのサイクリングロードを走る。
路肩が広く、舗装もきれい。
走っていて気持ちいい。

気づけば、台北の高い建物は見えなくなっていた。
空が広く、風の音がはっきり聞こえる。
走り始めたときよりも、身体も気持ちも軽い。

三峽老街|最初の寄り道
台北を離れ、最初に向かったのは三峽老街だった。
赤レンガの街並みが続き、観光客も多い。
自転車を押しながら歩き、少しだけ街の空気に触れる。
ここが、台湾一周で最初に「観光らしい場所」だった。
走るだけではなく、立ち止まれる余裕があることに少し安心する。

大渓老街|街から街へ走る感覚
三峽を出て走り続けると、大渓老街に入る。
同じ「老街」でも、街の雰囲気は少し違う。
自然が近くにあり、どこからか音楽が聞こえてくる。
活気のある場所だった。


このあたりから、
信号の少ない区間や走りやすい道が増えてくる。
自転車で走るペースが、ようやく身体に馴染み始めた。
石門水庫|景色が一気に開ける
大渓を抜けると、石門水庫へ向かう道に入る。
ここまでとは一気に景色が変わり、視界が広がる。
ダム湖を望む道は、静かで走りやすい。
水面と空の色を眺めながら走る時間は、
この日の中でも特に印象に残っている。

ダムの上の道も走ってみた。
雨が降ってきたので少し雨宿りした。
いくら台湾とはいえこの季節の雨に打たれると寒さを感じる。

新竹へ|初日の終点
石門水庫を過ぎると、再び街が近づいてくる。
交通量は増えるが、朝ほどの戸惑いはない。
もう、台湾の道路のリズムに少し慣れていた。

新竹に到着した頃には、空はすっかり暗くなっていた。
宿にチェックインして風呂に入ってから夕食に向かう。
初日の締めは火鍋。
走ったあとの熱い鍋は、身体にそのまま染み込む。

ホテルに戻ってベットに入るとスマホのアラートが鳴り出し、強い揺れを感じた。
震度4の地震だった。部屋の外で何かが落ちる音が聞こえた。
テレビをつけても緊急地震速報のようなものはやっておらず、
台湾における地震の扱いはよく分からなかった。
日本でもニュースになっていたようで、友人から心配の連絡が来た。
翌朝のニュースを見た限り、大きな被害は出ていないようだった。

この日走った距離は88km。
台北の街並みから老街、ダム湖、そして新竹の夜へ。
景色も空気も、目まぐるしく変わる一日だった。
台湾一周は、確実に動き出している。
Day2|新竹を出発、西海岸を南へ(準備中)


































































































